町並み保存及び景観形成のための空きスペース活用について

         主催:岡田コミュニティー、岡田街並保存会、愛知県
         協力:NPO法人 日本民家再生リサイクル協会

平成16年1月25日 岡田公民館
現地見学
  ・ NPOプラザ知多(旧岡田医院)
  ・ 伝承知多木綿 つものき(土井文貴雄氏宅)ほか岡田地区

          講演

ホンモノでなければ生き残れない
― 21世紀“レスタウロ(修復)”新世紀 ―

        講師:特定非営利活動法人 日本民家再生リサイクル協会
                     副代表理事 黒田 武儀 さん

町並み保存再生の現況
目先の経済からスタートする町並み再生保存のまちづくりは、見た目だけの保全再生になりやすい。
1960年代以降の日本では、世界市場経済体制の下、大量生産・大量輸送・大量消費・大量廃棄が進み、各地各地域に固有の特色や個性が急速に失われ、全国一律に均質化と都市化が進んだ。同時に、地域に根ざした暮らしの仕組みが根底から否定され「古い町並み」の存在は、町の発展にとって邪魔な、厄介な問題となった。
そのような近代化路線の中で、古い町並みの保存・再生を考える時、直接的対費用効果を求めるため、どうしても、うわべだけの保全・再生、伝統文化の商品化となりやすい傾向があり、古い伝統の町並みは、映画のセットかテーマパークのようになり、生活実感のないものとなる。
また、文化財行政に代表されるように「歴史的遺構、古い町並みの保存・再生=建造物の外観、景観の保存・再生」と考えられてきたため、見た目のかたちだけにとらわれ、伝統の原材料・材質・道具・工法・技術への配慮はないがしろになり、それらは急速に姿を消しつつある。
古い町並みを、観光地にしようとする試みは、全国各地でみられるが、実際に多くのひとびとが繰り返し訪れたくなるような、観光地となるには、ある程度以上の質と量と面積の、魅力ある観光資源が必要となる。
古い町並みを残すには、観光開発しかないという貧困な発想だけでは、町並み再生の成功例が極めて少ないのもうなずける。