これからの保存再生はどうすればいいか
欧米社会の価値観に学ぶ
欧米では、人間がどんなに努力してもどんな技術を駆使しても、決して創り出すことのできない、歳月の積み重ねによって磨き上げられたものに、最大の価値を見出している。
ヨーロッパの片田舎、アメリカの小さな町では、そこに暮らす人々の日々に、その土地の風土と歴史、伝統が、そのまま生きている。そして、それを誇りにし、大切にしながら、現代の暮らしととても上手に融けあって生活している。そんな町や村を訪れてみると、とりたてて何の観光施設があるわけでもないのに、なぜか、1日いても飽きない魅力を持っている。

嘘をつかない保存再生 嘘をつかない町づくり
保存再生の真の意味とは、地域に根づいてきた、ひとびとの暮らしの伝統、文化、社会的な仕組みが、現代的意義を与えられ、その地で再び生命を与えられることにほかならない。
そのためには、以下の事柄を基本に考えるとよい。
@ 自分たちが、一番大切にしたいものは何か、次の世代に一番伝え残したいものは何かを、自分たち自身に問いかける。…誰が、誰のために、何を、何のために、どういうしかたで伝えるか。
A 伝統的なものは、職人の技や材料、道具がなくなったら、再生不可能になる。
B 本来、小さな地域社会の中で、ほぼ完結してきた暮らしの仕組みを思い起こして、地域の中で完結的に循環する暮らしの仕組みを考える。

もう少し具体的に考えてみると
@自分たちの町並みは自分たちで保存するという意気込み
ダンナ衆の心意気
自分たちの持っているものの価値をもう一度見直す
残していくのは当たり前という雰囲気作り
A文化遺産、すなわち “我が物であって我が物でないもの”を新しい方法で残すことを考える。
B若い人や女性の意見も取り入れ、本音で語り合う。
C本物を目指す。