★目先の経済からスタートする再生の町づくり★
経済からスタートする町づくりは、直接的対費用効果を問題にしますから、うわべの形だけの保全再生になるのは、しかたのないことかもしれません。
その形ばかりの保全再生が進めば進むほど、町は、映画のセットか、テーマパークのようになり、生活の場だけが持つ質感を、急速に失います。歴史や伝統、文化を簡便安易に「商品化」して、士産物屋や飲食店が軒を連ねる観光地が、各地に誕生してきたことは、誰もが経験していることです。いっ時は、訪れる観光客で賑わいもしますが、しばらくすると、たいていは人通りもまばらに閑散としてしまいます。それを機会に観光業に転身した市民は、もともとの家業を失った上に、今度は生活の糧さえ無くす結果となり、後は、高齢化と少子化に拍車がかかって、空家ばかりが目立ちます。
夢よもう一度と、懸命のカンフル注射が繰り返されますが、所詮、観光資源に乏しい、魅力のない場所に、人は訪れようとはしません。観光地となるには、ある程度の質と量と面積の、魅力ある観光資源が必要です。町が古ければ観光地になれるわけではありません。とくに、量と面積が不足している場合には、とりわけ高い質がない限り、将来の展望は期待できません。
短期的な経済効果を期待した、短絡的で安易な再生は、町の将来にとって、あまり役立たないと断言してもいいのかもしれません。