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 海や海岸の海草や藻を田圃や畑に運んで肥料代わりに使っていた時代があったことを知っていますか。岡田に限らず知多半島の海に近い町や村では、江戸時代から昭和二十年代くらいまではこれがごく普通のことでした。岡田では通称岡田浜で海草や藻を刈り取り、天秤棒や荷車、時にはリヤカーに満載して何度も繰り返して運びました。生のままでは塩気が強いため、田圃や畑の脇で晒して雨に打たせて塩抜きし、塩が抜けたところを田畑の中へ運び込んで肥料代わりにしたそうです。
 肥料が少なかった時代、戦中・戦後のお金で肥料が買えなかった時代、農家が貧乏で買えなかった時代の経験から学んだ知恵の一つです。